許さん 違反肥料!

 農水省は15日、違反肥料を製造流通させていた普通肥料メーカー2社に、製品の出荷停止などの措置(指導)を取った。行政処分を受けたのは県南衛生工業(本社宮城県)と大場産興(本社埼玉県)。肥飼料検査所の立入り検査で、それぞれ製造している汚泥発酵肥料から許容基準を超える有害成分が検出されていた。

ハザカプラント

 処分を受けた2社のうち、リサイクル関係者に衝撃を与えているのは県南衛生工業。社長の葉坂勝氏は高速堆肥化装置「ハザカプラント」の開発者で、「(その)たい肥化施設は農水省推薦」(日本フードサービス協会)という。
 ハザカプラントの賛美者は多い。東京農大の小泉武夫教授はあるセミナーで「…町の生ゴミをチェーン循環型として土づくりの原料にする。ハザカプラントは百メートルのものが三億円弱するが、80%は国が出してくれる。20%は農林中央金庫が融資してくれる。融資分は町が生ゴミ処理代を出すので還元できる。出来た土を農家に無料で差し上げている。農業の再構築を考えた場合、資源として生ゴミの発酵処理しかない」、また「ハザカプラントの場合、25日間の発酵で完璧に完全熟成した肥沃な土・堆肥ができる(中略)。
多くの役人は、これだけ今の日本農業が深刻な現状を迎えているというのに、真剣に勉強をしてないからついてこられないのだ。一日平穏で何もなければそれで月給がもらえる、といった役人根性では、何ひとつこの国は良くならない…」(「食の堕落と日本人」より)とやや脱線気味な発言までして、ハザカプラントを持ち上げている。
同発酵装置はこれまでに全国で20数台普及しているといわれている。仙台市が登録している「仙環堆肥化肥料1号」(14年9月登録)も同装置で製造されている。

違反の原因

汚泥を除く一般普通肥料メーカーは、安心安全な肥料を作るためあらゆる努力をしている。外注原料では、肥料成分などの含有量で細かなところまでスペックの取り決めを行無登録肥料う。製造工程でも常に製品管理に万全を期すべく努めている。
しかし汚泥肥料では、「産廃物の処理が優先する場合も」(関係者)。肥料登録時と原料の変更があっても、分析をせず肥料化する場合も少なくないようだ。ハード(堆肥化装置)は良いがソフト(管理者責任など)面で問題があったようだ。
 なお今回処分を受けたハザカプラントでは、肥料登録をする(平成13年1月)までは、ほぼ現在と同じ原料を使用して、JAS法有機栽培に適合する堆肥を製造していた。

再発防止

 今回の行政処分では出荷停止以外に、流通段階にある当該汚泥肥料の回収などを命じている。
 ハザカプラントの関係者は「(我々は)リサイクル社会づくりという崇高な目的を持っている(中略)、(霞ヶ関の)木っ端役人に何が分かる」と小泉教授と同じ論法を展開しているといわれている。
しかし行政指導に対しては、原料や製品の管理をこれまで以上に徹底するという改善策を提出するものとみられている。業者まかせでなく、検査機関による継続的なモニタリングも必要であろう。

無登録肥料

 普通肥料には特殊肥料に比べると、有害成分などで厳しい規制が適用される。そのため一部には「ハザカプラントは登録を取って損をした」(産廃関係者)との声も。しかし肥料取締法には無登録肥料に対しても罰則規定がある。平成15年の改正で無登録肥料については「3年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、法人に対して1億円以下の罰金刑」となった。
規制の抜け道として、所有する農地への施用などがある。「汚泥堆肥」生産者がそれを自らが所有する農地へ有機物の補給材として施用しても、「現行法で取り締まることは困難」(行政関係者)。農家が天然物などから農薬効果のある資材を作り、所有する圃場に一般資材として施用しても、農薬取締法違反では摘発されていないのと同じだ。